春、夏、手の届く未来。

 
 

 

春はあけぼの。

 

 

光が差してきた。

 

 

10周年ツアーと題されたそれは各地で開催され、物販も、会場によっては声出しも、そしてライブ後の特典会も可能なものとなり、実に「コロナ前」に近い状態での開催となった。

めせもあ9人が住むお家に、私たちオタクは、観客は「10周年のお祝い」にお呼ばれされ、愛を込めて作られたセットや構成の中ステージを楽しんだ。

ソロの披露時ですらメンバーが見守ることもあり、全員での時間が多いツアーとなった。

そこには間違いなく9人が待っていた。

 

2年前。

平和島ではメンバーが1人で、ソロライブをしていた。ペアライブをした。予定していたツアーのファイナルは配信となり、誰も座っていない客席には電飾が灯った。

秋が過ぎれば、座席の間隔を空けて声を抑えて、私たちは客席に座ることが出来た。翌春、最大キャパを目指した幕張メッセは本来の座席数を減らしての開催となった。

少しずつ少しずつ積み重ねて。時にはメンバーがステージに居ないこともあったけど、今年の10周年の春ツアーができた。

ステージには9人がいて、客席にはお祝いに駆けつけた沢山の人たちが文字通り肩を並べていた。

 

 

大きなセット、コンセプトや見せたいシーンに合わせて選ばれる曲たち、新曲と華やかな衣装。そしてたくさんのたくさんの光が客席に灯り、動いた。

こんな風景を大好きな推しには、推しグループ達には、たくさん見て欲しい。

もっと、もっと多くの光を!

 

ツアーファイナルでは、長年の目標であった日本武道館での公演開催が発表された。

最後まで喜びに溢れた春ツアーだった。

 

 

 

節目の年は、すこし怖くなる。過去の経験則からだ。

実際、ファイナル公演、メンバーから重大発表と告げられ、その結果であった「日本武道館」の「日」が見えるまで、隣にいる友達の手を強く握り、震えていた。

 

過ぎる不安があれど、自分は勘もよくない、観察眼も鋭くない。推しと推したちが発する言葉をそのまま受け取るしか出来ないし、したくなかった。

目指していた日本武道館公演が決まったのが事実。

そしてその日のステージで推しが「探してた未来の向こうへ 旅はまだ続いてる」と歌ったのも事実。そこから何を受け取るかは自由かもしれないが、でも。

でも、すごく、素敵な歌唱だった。

 

 

 

 

やうやう白くなりゆく。

 

 

 

 

ホールであんなに素敵な表情を見せてくれた俺たちのアイドルは、地方に、ライブハウスに、帰ってきてくれた。

もちろんホールや更に広い会場での成功は望ましく、たくさんの人に見てもらいたいのだけど、個人的な話をすれば、ライブハウスでのツアーを見て推しを好きになった身であったので、これは待望だった。

 

楽しかった!!

10周年の日をお祝い出来たのも、近い距離で音楽で一つになることを楽しめたのも、すぐMCが脱線するのも、なかなか足を運ばない場所に運べたのも、特典会でお話できたのも、旅気分を味わえたのも、久しぶりの顔に会えたのも。本当に嬉しくて嬉しくて。

こうして、少しずつ世界的にもエンタメ的にもよくなるだろうと思えていた。

 

 

それは6月の真ん中の日。事情により春にホールツアーが行えなかった福島県のライブハウス。

その日の推しの踊ってみたのソロは、初めて自分がライブハウスで推しのソロを見た頃を思い出すようで

会場をぶち上げるというよりは、踊りだけで一点に集中させるみたいな、推しのステージに惹かれた。大好きだった。

でも初めて見た時とは全然違う。表情も挑戦していることも身体の動きも。ただ曲のセレクトもあって、いつもより力強さを感じるステージだった。

まだまだ推しの進化が見られることが楽しみになった。

 

卒業発表はその翌日だった。

 

 

 

 

 

夏は、夜。

 

 

月明かりのない闇をさまよう蛍。

 

 

 

 

梅雨入りしているはずなのに、雨は少ないしぐんぐん気温はあがる、そんな6月の後半だった。

 

わからない、わからない、と呟きながら6月下旬を過ごした。前回書いた記事の気持ちのまま。

今見るとひどく雑で乱暴で、多分この記事はそのうち消す。(勢いで書いた記事グッバイ宣言)

 

卒業発表した週末、特典会があった。

よりによって最初の部だった。感情はずっとごちゃごちゃだったが、前日には「最初の部なんだから気持ちを下げちゃだめだ!鍵開けでひと笑い掻っ攫ってくぞ!ヨシャ!」なんて思ってた。

朝起きて、電車に乗って考えてたら急に話すのが怖くなった。ださい。結局、会場に早く着くつもりが新橋駅のお手洗いで大して崩れてもない顔を直す目的で、鏡を見つめ続けた。

その日は福島のソロの感想を言った、半泣きになりながら。あんま覚えてない。

 

 

推しはこの直後に自分の言葉で卒業への経緯をキャスで話してくれた。それを聞いて「あぁ、そうだよね。」と思った。納得しかなかった。

大変わかりやすく、事実と感情の配合が素晴らしく、別れに繋がる潔い決断を聴きながら、私はこんな時ですらまた推しを好きになるのか、と恨めしくすら感じた。

推しは卒業を選んだ。じゃあ私はどうしたら?

いつまで迷うんだ。

 

翌日には奈良のライブハウスに足を運んだ。

ライブ前にお知らせがあることは、そうだろうと思ったけど、直接本人の口から言葉を聴くとなかなかの威力があった。ちょっとこれは駄目かもしれない。

 

めせもあのライブはいつも通りに最高の状態で行われた。ただ。

話した事はないけどよく見かけたあのオタクが泣き崩れてる。隣も泣いている。あぁこの曲の歌詞が別れの歌に聞こえる。完璧に1部は泣く必要のないとこでも涙し、頭にずっと悲しさが居た。

 

 

私は、ライブすら楽しめなくなるのか?1年半?

いやそもそも、何しに来てるんだ。楽しみに来てるのに、演者にも顔が見える距離でぼろぼろ泣いて。私は。

1部後に深く反省した。2部は何が来ようと全力で楽しむと、連番と決めた。

有言実行。とてつもなく楽しんだ。やはりステージは能動的に楽しまなければと気づいた。

 

 

その後は福岡で特典会があった。対面で話す時間。

考えたが、元々話したいなと思ってたことがあったのもあり、ここでも卒業については触れなかった。どんな空間になるかが、まだ怖かった。

福岡では、友達ともよく話して共感させてもらったり、そうなんだね、と新たな気持ちを貰ったりした。

同じ時間を共有してきた大切な友達の言葉は、同じものでも異なるものも、尊い

 

 

自分の気持ちが整いつつあるのを感じながらも、ゆるオタの癖に割と0100思考の自分は、いい加減はっきりしない自分に腹が立っていた。

時間が解決することはわかっていたが、同じ場所をぐるぐる回っているのは得意ではなかった。動きたかった。

 

気持ちを伝えるのが怖い。自分の話をしても迷惑かも。発表以降、思っていた。でも奈良や福岡でのライブや、推しや友達との時間を経て、今この時の気持ちをしっかりと表したいと考えた。そして、それを表現する・伝えるのはまず推しにしたかった。そして近日にあった、オンライン特典会で話すことを決めた。

 

いま思っている・伝えたいこと。

よく内容は考えて。でも考え過ぎて自分から離れた綺麗な言葉にならないように気をつけた。

画面越しの相手には届くよう・失礼のないようには整えたけど、できるだけ歪なままの、グチャグチャの、自分の気持ちを。わたしの精一杯を。

 

 

結局話したのは、「どうしたらいいかわからなくなってしまった。でも今げるたんに何を話したいか考えたらたくさんの感謝と尊敬があることを伝えたくなった。」ということだった。

この今、何を伝えたいか考えたら、出てきたのは尽きることのない感謝と、大好きな人への尊敬の気持ちの言葉だった。

 

 

もう言い逃げ!みたいな気持ちで臨んだけど、勝手な独白に丁寧に耳を傾けてくれて、推しは言葉も添えてくれた。多分かなり気持ちを汲み取ってくれた。

 

そうだった。いつだって一方通行の思いだけど、こちらが一生懸命伝えれば、必ず暖かな何かを返してくれるフォーゲルさんだった。

 

 

少しずつ少しずつわかって来ていたものが、この時間を経て、しっかりとわかった。

今までのままで、いいのだと。

いつだって後悔の無いように推してきたから、例え終わりの日が決まっていようとこのままでいいのだと。

 

今までと、何一つ行動を変えることなく過ごせばいい。

卒業だから頑張って何かすることもない、無理に目を逸らすこともない。その時その時に感じたままに考えたままに動いてきたんだから、これでいい。

 

こんっっっっっな簡単なことに落ち着くのに、時間を要した。でも要さなければ、きっといけなかった。

自分が馬鹿なのもそうだけど、一度迷って俯瞰を考えなければ今いる自分の位置を気づくことも出来なかった。

 

 

 

寂しかった。

お別れの日が急に見えた。寂しかったというか、今でもすごく寂しい。これからもっと寂しくなるかもしれない。

それに加えて、もう超バカを晒すけど、拗ねた気持ちがあった。自分は、推しの夢に少しだけ添わせてもらっている気持ちで勝手にいたのだ

だから「そんな卒業するなんて教えてくれなかったじゃん。」という謎に拗ねた気持ちがあった。

教えてもらえる訳なんかないのに。

 

 

悔しかった。

離れると決断した人も、推しに優しい言葉をすぐかけられた人も、みんなすごい。私は重要な時に何をかけていいのかどう動いていいのか分からず、何も出来なかった。

綺麗な言葉は嘘になりそうで、でも歪な自分の気持ちをそのまま投げて相手を傷つけたくもなくて

なんて自分は普段から何も考えてない、ダメなやつなんだろうという気持ちがあった。

 

これが美しくないけど、素直な気持ち。

 

 

 

秋は、冬は。これから迎える。

 

暫定の、今の気持ちは自分の中に落ちてきたけど、まだまだどうなるかはわからない。

もしかしたら急に卒業することに絶望して他界します!!とか言い出して20000字ぐらいのブログを書くかもしれないし、絶対推し見逃したくないマンになって、仕事を辞めて推しを追っかけ出すかもしれない。多分どっちもないけど。

でも今は。

 

 

果たされないかもしれない約束は、誓えない。ずっと。

そんな自分をこのまま続けようと思う。

秋冬までとすら言えなくても、私の手の届く未来は、推しと過ごす時間を愛したい。あいもかわらず。